このページでは簿記の記録区分、五勘定についての説明です。
5つの勘定とその意味、そしてどのように使われるのかを覚えてください。
簿記では、記録・集計をしやすくするために、企業のお金の状態を、いくつかのグループに分けて記入をしています。
このグループのことを勘定(かんじょう)といいます。
勘定は五種類あって、大きなグループに大別すると、財産状態に関係する勘定、資産(しさん)負債(ふさい)資本(しほん)の三つと、儲けに関係する勘定、収益(しゅうえき)費用(ひよう)の二つの、計5勘定があります。
この3つの勘定がくみあわさることによって、貸借対照表が作られます。
資産といわれて、すぐに想像できるのはお金だと思いますが、お金以外にも、物体としての形はないけれど法律で認められた債権(さいけん)や土地などの物(もの、ぶつ)も資産に含まれます。
具体的には、現金、預金、売掛金、商品、備品、車両運搬具、建物、土地などがあります。
資産勘定は、企業の決算書類、貸借対照表の借方(左側)に記載されます。
簡単にいうと、会社の借金にあたるものです。
具体的には、借入金、支払手形、などがあります。
負債勘定は、貸借対照表の貸方(右側)に記載されます。
慣用句「元も子もない」は、元金と利息が語源になったといわれています。それだけなくてはならないものです。もとがなければ何もできないんですね。
資本に関係するおもな例は、簿記3級では資本金しかありません。
資本勘定は、貸借対照表の貸方(右側)、負債の下に記載されます。
そして資産、負債、資本の3勘定がでてきたところで、この3つの勘定の位置関係を示すとこうなります。
資産 | 負債 |
資本 |
貸借対照表がうっすらみえてきましたね^^この3つの勘定によって、企業の財産の内容があきらかになります。
一方、儲けに関係する勘定は、費用と収益が対になって損益計算書が作成されます。
収入といっても、商品を売った売上はもちろん、ものを売らなくても得るサービスも収益に含まれます。
例えば、ヤマト運輸などの運送会社は、何か物を売ってはいませんよね。物を運ぶというサービスで収益を得ていますね。「第三次産業は、用役・役務」なんて学校で習ったと思います。
収益は企業の資本を増加させる要因になります。
おもな収入は、売上、受取手数料、受取利息、雑収入などがあります。
収益勘定は、損益計算書の貸方(右側)に記載します。
もしわからなかったら、「なんか得すること、いいこと全部」だとおおざっぱに考えてもいいと思います。とにかく増えるんだなと。
企業が収益を得るために支払った経費のことで、企業の資本を減少させる要因となります。
おもな費用は、給料、広告宣伝費、支払家賃、水道光熱費、雑損などがあります。
今度は資本が減る方、費用です。費用は、収益を得るためにかかった諸経費なんだということがポイントです。
費用は単に減った、ではなく、収益を得るために犠牲にした分と考えられています。
儲かったのか損をしたのかは、お金を支払った時点ではわかりません。費用でわかることは、用を費やした、つかったという事実だけです。
前回お話した「りんご」の例は、資本からお金を出して、他の人に売る目的で購入しているので、経費なんだと考えられます。したがって、りんごは費用にあてはまり、費用は記録上、借方に記入されます。ここはもう理屈ぬきにそういうルールなんだというしかないですね。
とにかく減るんだなと。
そして同じく収益、費用の位置関係を示すとこうなります。
費用 | 収益 |
収益から費用を差し引くことによって利益(儲け)がわかるしくみです。費用は少なければすくないほうがいいですね。
このように、勘定という5つのグループに分けることによって、書く人も記録する時に、読む人も読む時に、わかりやすくなります。
だんだん簿記の話が深くなるにつれ、知らない用語が増えると思いますが、仕組みさえ理解すれば、すんなり頭に入ると思います。きっと自然に身についていきますよ。
「財産状況と儲けを知るため」という前提で、「五勘定」のお互いの関係を考えてください。
財産状況と儲けを知るために、この五勘定はどういう関係なんだろうかな?という感じです。
イメージでいうと、五勘定は、「仕切り、箱、容器」みたいなものなんだなと。