仕訳の章は、簿記の初心者が学習していて必ずつまずくところですから、理解できなくても気にしないでくださいね。そのうち慣れれば、なんてことはなくなります。
前回は、仕訳は一体どういうものなのかという概念についてのお話でしたが、今回は具体的にどうやったら仕訳ができるのかという、仕訳の方法について説明をします。
もちろん仕訳は、会社の製造・販売といった経済の取引(活動)を対象としていますね。
取引 | 仕訳 | |
4月1日 車(300,000円)を 現金で支払って購入した。 |
⇒ | (借方) 車両 300,000 (貸方) 現金 300,000 |
仕訳をする時、企業の経済取引が、いきなりこの様にはならないで、いくつかの段階を経て仕訳になります。この図がどういうプロセスをへておこなわれるのかという手続きの話です。直感でわかるのであれば、このページは読み飛ばしてください。
この手続きにはいくつかの段階があります。
というように、スローモーションのように徐々に形を変えていく過程を、まとめて見ていただきました。
慣れれば、頭のなかで文章を読んだだけで、仕訳ができるようになります。ただ単に、細かく話すとこんな感じだよということです。
最初は企業やお店が経済活動取引を行ったところからです。取引先との契約が、簿記上の取引にあたるのかどうかを確認します。
これは前のページで説明した通りです。財産の増減があったかどうかでしたね。簿記上の取引に該当するものを簿記では仕訳をすることになります。
次に、取引を原因・結果の二つに分けます。
取引という出来事自体は、一つなのですが、一つの出来事を異なった視点で見ることができます。
簿記に限らず、物事には原因と結果がありますね。
この例の出来事の場合、「車を買ったから」という原因と、「現金が減ったから」という結果で、一つの出来事に、二つの側面があります。
原因車を買った結果現金が減った
借方と貸方の要素というのは、5勘定には性質があり、借方(左側)には資産・負債・資本・費用・収益のそれぞれ増加・減少・減少・増加・減少というように、要素のポジションが勘定ごとに決まっているんです。
(借方要素) | (貸方要素) | ||
資産 | 増加 (+) |
資産 | 減少 (−) |
負債 | 減少 (−) |
負債 | 増加 (+) |
資本 | 減少 (−) |
資本 | 増加 (+) |
費用 | 増加 (+) |
費用 | 減少 (−) |
収益 | 減少 (−) |
収益 | 増加 (+) |
資産の借方の要素は増加というように記入する場所が決まっているんですね。
だから、貸方、借方逆に記入してはいけないんです。逆に記入すると、増加が減少になってしまいますから。
そして、原因と結果の二つに分けたそれぞれを、借方・貸方に決定します。
一つの取引を原因と結果の二つの側面に分けて同一金額を記入するので、取引の二重性とか取引の二面性とよばれています。
また別に、1つの取引を2回記入するので複式簿記といわれたりします。
そして、この例の場合だと、「車を買った」という原因は、資産の増加ということで、借方にあてはまり、また、「現金が減った」という結果は、資産の減少ということになり、貸方に該当します。ということで、借方要素と貸方要素のつながりは、上の表から、
(借方要素)(貸方要素) | ||
資産の増加 | ・---------------- ・ | 資産の減少 |
負債の減少 | 負債の増加 | |
資本の減少 | 資本の増加 | |
費用の増加 | 費用の減少 | |
収益の減少 | 収益の増加 |
こうなります。
資産の増加という一つの取引、と資産の減少という一つの取引が結びついて一つになった取引なんだ、ということがわかります。
(借方)車を買った(貸方)現金が減った
勘定科目というのは、例えば、貸借対照表の資産勘定でしたら、現金、預金、備品、建物、土地などのように、それぞれの資産の性質を表す名称ごとに、分類しておくために、勘定をさらに細分化したものです。
車を買った時の勘定科目がなぜ、車両なのかというのかは、厳密な意味はないようです。車両運搬具という勘定科目でもいいようですし。
勘定科目をみて、すぐ想像できるような一定の範囲内の名称なら構わないようです。
どのような種類の勘定科目があるのかは、あとでさらに勉強していくことになります。
(借方)車両(貸方)現金
ここは簡単です。原因・結果共に300,000円ですから、仕訳の金額も300,000円になります。
まとめると、
(借方)車両300,000 (貸方)現金300,000
となり、仕訳が完了します。
このように、対象となった取引を、勘定科目というそのまた小さな項目のグループへ区分けをすることが仕訳になります。